それなんてえrg?

通勤電車の中で本を読んでいたら、登校中らしい黒髪眼鏡の女子高生が隣に立った。
まあ、紳士の嗜みとしてなにげなく観察すると、眼鏡は黒縁で、髪は結構長くて顔はわからないが、肌の白さはよくわかった。


特に気にせずページをめくっていると、電車がだんだんと混み合ってきて、はじめは普通に立っていられたのに、ちょっと肩がふれあう程度に詰めないといけなくなり、それはすぐにぎゅうぎゅう詰めになった。
その子は新しく乗車してきた人に押され、あろうことか俺の正面に入ってきた。しかも、向かい合わせで立っているものだから、何かの拍子におでこにちゅーしてしまわないように俺は体をずらした。髪からはいい匂いがして、逆に自分の体臭が気になった。朝風呂派だから大丈夫だと思うけど。


となりのお姉さんが雑誌の陰から俺の動向をうかがっているような雰囲気を感じた。大丈夫、NoTouchです。本を持つ右手と鞄を握る左手をアッピルする。


何駅かそのままの体勢を維持し、本を片手で保持&ページをめくる技術を身につけた頃、女の子がさらなる攻勢に出た。
うつらうつらし始めたかと思うと、そのおでこを俺の肩にのせてきたのだ……!


ざわ……ざわ……。
福本作品ばりのざわめきが幻聴となって耳の奥でひびいた。


すぐに女の子は気がついて顔を上げて、髪を耳にかけたりして居住まいを正したけど、3分もするとまたことんと預けてくる。いい匂い。
俺は結構、年下の女性に対しての愛情が深いタチなので、能動的接触に及ぶことはなかったけれども、大変癒される体験に身も心も有頂天に達した。
この感動はしばらくおさまることを知らない。